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牛乳は人間が飲むようには造られていない ②

   この章では私が数年かけて集めた、乳がん・前立腺がんが、牛乳・乳製品の摂取量と関係があることを示す強固な証拠をお目にかけよう。同時に牛乳・乳製品を止めることが健康に支障をきたすどころか、乳がんと前立腺がんだけでなく、ほかの多くの病気にかかる危険性を減らすことについても解説する。

   これまでも西洋人は、大量の牛乳を飲んだり乳製品を食べる食生活を送ってきているが、西洋人の多くは今でも、牛乳なしで元気に過ごせる人間がいるということを理解できない。これは結局、異文化の問題でもある。そしてほとんどの欧米社会では牛乳は健康によい自然食品と考えられている。そして女性の骨粗鬆症を予防する、肉体労働者に必要なタンパク質が多く含まれている、細身のファッションモデルの最適な飲料であるなどとして、牛乳はすべての人にすばらしい食品であると考えられている。

   しかしこれは、巧みに作り上げられた幻想である。
   離乳期を過ぎた哺乳動物はミルクを必要としない。しかし人間は、離乳期後にもミルクを飲み続ける唯一の動物である。ウシという異種動物のミルクにこだわる私たち人間はほんとうに奇妙だ。ウシのミルクがそんなによいものなら、ブタのミルクも飲むのだろうか。ブタのミルクが気持ち悪いと思うのなら、ウシのミルクも気持ち悪いはずなのだが。

   牛乳は子牛以外の動物が飲むようには造られていない。
   そして牛乳の成分は、人間の母乳成分と大きく異なっている。まず、タンパク質は母乳よりも牛乳のほうが3倍多く、カルシウムはさらに多い(表参照)。人間の子どもがこのような高タンパク質飲料を飲んだら、未熟な腎臓に大きな負担を与えてしまう。牛乳は、体重が1日に1キログラムも増える急速に成長する子ウシにとって完璧な飲み物であるが、人間の子どもには適さないばかりか、まして大人にとっては害以外の何ものでもない。

   多くの科学者が、現在の欧米社会における乳製品の消費量は多すぎると言っている。
   1992年のアメリカの統計によると、アメリカ人は平均すると1人あたり1日700グラムの乳製品を摂取する。その中には牛乳、クリーム、アイスクリーム、バター、チーズ、カッテージチーズ、ヨーグルトなどがある。

   アメリカ農務省によると、アメリカ人の食事の40%以上が乳製品であり、食品摂取基準の2倍以上になるという。ハーバード大学のウィレット教授らによると、1980年代から1991年のあいだにアメリカ人の肥満は33%も増えたという。この肥満にも、牛乳・乳製品が一役かっていることだろう。

   あなたはミルクは純粋な白い液体で、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を多く含む健康的な飲み物だと考えているだろう。しかし驚くかもしれないが母乳だけでなくミルクは、新生児の特定の部位に働いてその部分の成長と発達を促すために、たくさんのホルモンやホルモンのような物質を高濃度に含んでいる生物活性の高い液体、つまりホルモンカクテルである。そして実際にミルクを飲むことによって、新生児の細胞分裂が促進される。このために古来から、ミルクは「白い血液」とも言われてきた。(略)

   つまりミルクには、それが人間の母乳であれ牛の牛乳であれ、親から新生児に伝えるべき数百種類もの化学物質が含まれているのだ。多胎動物の分泌するミルクが乳房によって異なるのは、子どもの発育に合わせて成分の調整を行なっているからと思われる。つまりミルクは、同種の動物の子どもの成長・発育に適(かな)うように、非常に精密に作られた
複雑な生化学的液体なのである。牛乳が悪い飲み物というわけではない。それは素晴らしい飲み物である、ただし子牛にとって。ここに牛乳の問題の本質がある。

   いろいろな健康障害の原因に牛乳があると言われている。
   いくつかの例をあげると、

    
one 生後1年以内の乳児が牛乳で育てられると、鉄が欠乏して貧血になることがある。乳児は牛乳中の鉄の吸収がむつかしいだけでなく、牛乳が他の食物による鉄の吸収を阻害する。小児科医はずっと昔から、牛乳がときに幼児の激しい腹痛の原因になることを知っていた。今ではこどもたちも、子どもを母乳で育てている母親が牛乳を飲むと、授乳した子どもに激しい腹痛の起きることがあるのを知っている。

     あるイギリスの小児専門医によると、牛乳を飲んでいる幼児の中に、いつも落ち着きがなく不機嫌で、痛みがあるのか周期的に大声をあげて泣く子供がいる。食べたものをよくもどし、ときに血の混じった粘液性の軟便をする。体重増加が思わしくなく、しばしば貧血がみられる。両親や兄弟姉妹がアトピー、花粉症、喘息にかかっている場合、牛乳によって顔面だけでなく、全身にアトピー湿疹ができたり、鼻がつまったり、ぜいぜいという息になったりする。

    
two 主として小児期に起きるインスリンが欠乏する「1型糖尿病」の発生に、牛乳が関係しているという報告がある。多くの国で行なわれた疫学研究によると、牛乳消費量と1型糖尿病の発生率の間に強い関係があることを示している。10代の初めに起きるこの病気は、インスリンを分泌するすい臓のベータ細胞が免疫的に破壊されることによって起きる。この病気の発生には遺伝的要素も無関係ではないが、外部要因として牛乳タンパク質が関係しているという証拠が多く寄せられている。

―― three 牛乳は、食物アレルギーの原因となることがもっとも多い食品の一つで、幼児アレルギーの共通原因になるのがもっとも多いのも牛乳である。牛乳タンパク質を身体的に異物と認識する人では、牛乳は湿疹、喘息、偏頭痛などを引き起こす。また母乳で育てられている乳児より人工哺育児に突然死が多いことから、乳児突然死症候群は牛乳に関係があるとする主張もある。呼吸器症状、口内潰瘍、皮膚症状やそれと気づかないアレルギー症状が、牛乳・乳製品に関連して起きることがある。

     世界成人人口の70%は牛乳中の乳糖を分解できない。成人が乳糖を分解できないのは当然のことであり、大人になっても乳糖を分解できるということのほうが異常なのだ。乳糖を分解できない人が牛乳を飲むと、腹痛や下痢を起こす。このような人を乳糖不耐症というが、その症状は「あなたは間違ったものを食べている!」という自然界の警告なのである。

――
four 牛乳は多くの細菌微生物の格好の培養液である。
       
低温殺菌は当初、牛乳中に存在するコクシエラ菌と結核菌を殺菌するために考え出された。しかし、63度で30分や71.7度で15秒といった低温殺菌では、パラ結核菌の一部が生き残ることが明らかとなっている。パラ結核菌は牛にヨーネ病という慢性腸炎を引き起こす。ヨーネ病は、世界中に広がっている最大の細菌性家畜伝染病である。パラ結核菌と、人間の過敏性腸症候群との関係を指摘する研究者もいる。

―― five リステリア菌が柔らかいチーズなどの乳製品に存在し、非常に危険な髄膜炎や敗血症を起こすことがある。このリステリア感染症の致死率は30%と高い。とくに妊婦や免疫力の低下している高齢者、また抗ガン治療を受けている人が感染しやすい。感染してから発症するまでの潜伏期間は10週間と長く、そのために感染につながる食品の見極めがむつかしい。

―― six 現在の法律では、極めて多くの化学物質を乳牛に与えてもよいと認めている。
              これらの化学物質には感染治療に使われる抗生物質から、寄生虫を駆除する駆虫薬や成長促進剤にいたるまでその種類は非常に多い。アメリカなどでは、プロスタグランジンやオキシトチン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンなど脳下垂体ホルモンも獣医師の処方薬として使われている。


            しかしこれらの薬剤が規定通りに使われていれば、牛乳や乳製品が人間の健康に影響を与えることはないとされている。しかしホルモンなどの薬剤はしばしば誤用・悪用されており、たとえばオキシトチンが牛乳の生産量を増やすために使われることがある。酪農家の使うホルモンが牛乳に残留していないことを確認する必要がある。

    
 現在の酪農は、できるだけ少ない乳牛からできるだけ大量の牛乳を搾るという不自然な集中酪農が主流になっている。そんなに搾れば牛乳が余ってしまうが、それは酪農経営にとって問題ではない。消費量を多くすればすむからだ。

          たとえばアメリカにおける現代の酪農は、乳牛をできるだけ若年で妊娠させ、出産後もできるだけ早く妊娠させて、出産と出産の間隔を最小限に短縮する方法が採られている。しかも生まれた子牛を早期に親から引き離して、人間用に搾乳する期間を長くする。搾乳量が減ると処分して肉にする。

    このように、乳牛に無理な圧力をかけた結果の一つが、乳房炎の増加である。
    乳牛が乳房炎になると膿(うみ)が牛乳に入る。そして当然牛乳には多くの炎症からくる細胞、つまり主として白血球が含まれることになる。EUでは、牛乳の細胞は1ミリリットルあたり40万個まで許容されている。つまり、驚くなかれ、茶さじ一杯の牛乳の中に200万個の白血球を含んでいるのだ! 

         白血球があまり増えると牛乳の品質が落ちるので、酪農家は抗生物質を使う。1990年の米国農務省の調査によると、14都市で集めた牛乳の51%に抗生物質の残留が認められたという。この抗生物質の大量使用が、乳製品を摂取する人間のアレルギー反応を高めたり、抗生物質に対する耐性菌の増加を引き起こして、人間の感染症の治療を難しくしているのではないかとも言われている。

   EUでは、人口の3~10%がペニシリンだけでなく、乳牛の乳腺炎の治療に使われる抗生物質にもアレルギーを示すと述べている。さらに報告は、「遺伝子組み換えウシ成長ホルモン」の使用にともなってウシの乳房炎が増え、その治療に使われている大量の抗生物質が、耐性菌の増加に拍車をかけていると述べている。

    
seven 哺乳類のミルクは、生まれたばかりの子どもの成長を支えるホルモンを高濃度に含む液体である。しかも牛乳にはさらに、人工の化学物質が濃縮されて含まれている。イスラエルの乳がん死亡率が過去の2倍に増えたのは、牛乳中の汚染物質である農薬が原因ではないかという仮説が出されたが、政府が農薬の使用を禁じたところ、牛乳に含まれる農薬濃度は激減し、乳がん死亡者が大幅に減少したという。

           イスラエルの牛乳で問題になった農薬は、内分泌撹乱物質の環境ホルモンの一つであるDDTであった。それと同じく、環境ホルモンとして強く作用するPCBやダイオキシンも脂肪によく溶ける性質を持つので、牛の飼料から移行して牛乳に濃縮して存在する。・・・。・・・。


   ここまで述べてきたことで、牛乳は子牛にとっては完璧な食品であっても、人間にとっては優れた食品ではあり得ないことがわかると思う。哺乳動物のミルクの存在理由は、新生児の細胞分裂を刺激するために重要な役割を果たしており、ただただこの一点にあるということを忘れてはならない。だからこそそのようにデザインされた物質を、成熟した動物に与えたらどうなるかという問いかけに意味があるのだ。

   乳製品と乳がん・前立腺がんの因果関係には否定しがたい証拠がある。
   なぜ年をとるにつれて乳がんが増えるのか。その答えは、ホルモンカクテルである牛乳・乳製品を毎日のようにとっていると、エストロジェン(女性ホルモン)の影響を受けなくなる閉経期、あるいはすでに免れている閉経後に、乳腺細胞がホルモンの成長因子に曝(さら)されてしまうからである。そしてこの説を検証するためにはさらなる研究が必要である。しかしこのような研究は、酪農業界の影響や政治的圧力とは無縁の研究者によって行なわれなければならない。

   「乳がん・前立腺がんの原因は乳製品」と公言してきた私は、激しい個人攻撃を受けた。
      たとえばアメリカ酪農評議会の副会長を務めるミラー博士は、私の主張には科学的証拠がないという。しかし狂牛病について私たちイギリス国民は何度、「科学的根拠がない」という言葉に騙されてきただろう。「科学的根拠がない」のは、「証拠を見出そうとする努力をしていない」ということに過ぎないのだ。

       このように故意に事実を捻じ曲げようとする攻撃に、私は慣れている。私の記述が間違っているという指摘があれば、私は率直に耳を傾ける用意がある。


         
book「乳がんと牛乳」 ジェイン・プラント著 径書房


                         抜粋


   

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