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・「血圧基準値」のウソ

  .日本では薬を飲んでいる人がとても多いですね。
  降圧剤一つをとっても、60代では3割以上が、70歳代だと5割以上が飲んでいます。(2011年全国調査) 高血糖や高コレステロール血症なども合わせたら、クスリを服用している人は一体どれほどの数になるでしょうか。
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  私の外来に来られた60代の男性は、「クラス会に出席した数十人のうちクスリを飲んでいないのは自分だけだった。ほとんどの人が検診で異常を発見されてクスリが始まったと言っていた」と苦笑していました。
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  この話にもあるように、クスリが処方されるきっかけは、決まったように、健康な時に受けた検査です。風邪や花粉症などでの”念のための検査”や、職場検診などで異常を指摘されてクスリが始まるのです。特に人間ドックは、何らかの異常を指摘される人が9割にもなります。
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  なんで異常がそんなに多くなるのか、本章では検査で"異常"が量産される仕組みと、そのようにして診断された高血圧などを治療する意味があるのかどうかを検討します。
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異常値は――5%を自動的に「異常値」扱いすることで作られる
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  検査で”異常”が増えるのは、この”基準値”が理由です。
  これは正常値と異常値を分けるための境目の値であり、肝機能や白血球数などたいていの血液検査では、一つの測定項目につき、被験者の5%が自動的に異常判定されるようになっています。決め方は次の通りです。
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  まず多数の被験者の中から、健康と判断した人たちを選び出し、彼ら彼女らの測定値を低いほうから高いほうへ、千件、万件と並べます。次に、一番低い測定値から数えて、全件数の2.5%目にあたる測定値を”下の基準値”とし、同様に高い測定値から数えて”上の基準値”も決めます。これを新たに検査を受ける人達に適用すると、5%が”基準値外”となり、”異常”と判定されるのです。
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  するといくつか問題が生じます。
  まず、1項目につき5%が異常になるので、2項目を検査すると、片方または両方が異常判定される人は全体の10%弱になります。計算法は0.05×2=0.10ではなく、0.95×0.95=0.9025です。検査項目の数だけ0.95を掛け合わせていくと、全項目が基準値内にある割合が得られるわけです。その割合を1.0から差し引くと、最低1項目が異常判定される人の割合がわかることになります。それで、検診、人間ドックなどで、もし30項目の検査をすれば、どれか1項目でも異常判定される人が全体の8割にもなります。
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  基準値を決めるのに利用された千人、万人の人たちも同じ運命になります。つまり、彼ら彼女らが次に検査を受けると、1項目につき5%が異常と判定されてしまうわけです。もともと健康だと判断されたからこそ、基準値を決めるのに使われたはずなのに、その人たちの中から異常判定を出すのは、それこそ異常な話でしかありません。
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  そして”5%基準”の場合には、値は自動的に決まります。
  専門家が肝機能や白血球数の基準値を自由に動かすことはできません。ところが高血圧や高血糖、高コレステロール血症などの”生活習慣病”では、専門家たちが基準値を決めています。そうするとどうなるでしょうか? ただし以下の話は、健康で元気な人が検査で異常値を指摘された場合です。
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高血圧のウソ――基準値切り下げで降圧剤の売り上げが年間1兆円超に!
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  もし血圧に5%基準を当てはめると、成人人口が約1億人の日本では、高血圧患者は500万人前後になるはずです。ところが実際にはその10倍の5000万人もの高血圧患者がいます。一体なぜそんなことになっているのでしょうか。そうなった歴史を振り返りましょう。
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  私が医学部生だった70年代では、「上の血圧の基準は自分の年齢に90を足したもの」あるいは「100を足すのが妥当」などと言われていました。これはかなり合理的な話です。というのも、人は年をとるほど動脈が狭くなり、そのままだと体の中で一番大事な脳に届ける血液量が少なくなります。そこで体は自分で血圧を調節して高くし、脳血流を確保するのです。ですから血圧の基準値をもし決めるとするなら、それは年齢に応じて決めるべきものであり、「その人の年齢に足す」という決め方には一定の合理性があるわけです。
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  ところが1978年に世界保健機関(WHO)は、すべての年齢の基準値として160/95を採用したのです。つまり上の血圧が160以上か、下の血圧が95以上であれば自動的に高血圧と判定されるのです。その結果、当然、高血圧と判定されてクスリを処方される人が激増することになりました。
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    しかも、実はこの基準値が正しいことを示すデータや試験結果は存在しなかったのです。そしてWHOが基準値を決めた背後には、製薬業界がいました。それまでWHOは、各国政府からの拠出金で運営されていましたが、その頃にはすでに製薬業界からの寄付金に依存するようになっていました。
そして、製薬業界からの寄付金がさらに増えた20年後の1998年、WHOは高血圧の基準値を改訂しました。その時のいきさつは次のとおりです。
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 この血圧の基準作成委員長は、イタリアミラノ大学医学部教授のザンチェッティでした。彼は欧州高血圧学会を創設した学会の重鎮です。ですが一方で彼は19の製薬会社から研究費や顧問料をもらい、製薬会社によって創建された500ベッドを有する私立研究所のディレクターの職にもあるという、研究者と同時に社員のような立場にいました。彼だけでなく、他の17人の基準作成委員も、1人を除いて全員が製薬業界からお金をもらっています。
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  そしてWHOが1999年に決定・公表した血圧の新基準値は140/90でした。
  その発表の席でザンチェッティ委員長は、「下の血圧は80が理想的で、それ以上は不健康だ」と言い添えています。(Seattle Times June 26,2005 )このWHOの決定に対して、58ヵ国の1000人近い専門家が署名して反対しました。しかし新基準値は変更されることなく、世界に広がっていきました。当然、一般の医者は下の血圧が80以上ならクスリを処方します。
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  その結果、たとえば米国ではそれまで年間3000億円だった降圧剤の売り上げが、5年後では1兆6300億円と5倍以上になりました。このように基準値の切り下げをするだけで、医療業界に莫大な利益をもたらすのです。しかし当然、この新基準値を正当化するデータはなく、それどころか逆に、血圧を下げると危険だとする試験結果がありました。(試験結果はp.121~122参照)
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  つまり、血圧を下げるほど死亡する人が多くなっています。(Lanset 1998 ;351:1755) しかもザンチェッティ委員長が「理想的」だと言った80以下のグループの死亡率が一番高かった。それどころか驚くべきことに、ザンチェッティはこの試験を実施した中心人物だったのです。
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  WHOが新基準を決定したのが1999年で、この試験結果が報告されたのがその前年の1998年でした。 つまりザンチェッティは血圧を下げると死者が増えるという試験結果を誰よりも熟知していながら、「下の血圧は80が理想的」だと発言したのです。――翻訳すると、「みなさん、医者と製薬会社のためにクスリをどしどし飲んでくださいね。多少死人が増えるけど」となります。
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  この比較試験は製薬会社の資金によって実施されており、製薬会社の社員が論文著者として名をつらねています。製薬会社がからんだ試験結果が信用できないと言われるのは、製薬会社に有利な結論が出た場合です。ですから血圧を下げるほど死亡率が高くなるというような、製薬会社にとって不利な試験結果は額面通りだと受け取ることができます。しかもこの試験では、下の血圧を目標としており、無治療群(プラセボ群)がありません。もし上の血圧を目安として、プラセボ群と比べたらどうなるでしょうか。
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  欧米には、上の血圧が200未満で血圧平均が160~170の人たちを集めて行なった比較試験が3件あります。結果はというと、降圧剤(投与)グループとプラセボ(無治療)群の総死亡数に変わりはありませんでした(Cochrane Library 2012 ,Issue 8)。結局、現行の140/90という基準はもちろん、以前の160/90という基準も不合理です。しかも血圧を下げ過ぎると死者が増えることも明らかです。それでも専門家たちは、無理やり高血圧と診断してはクスリを飲ませようとするのです。
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  では日本ではどうか。
  日本もWHOの新基準に乗っかりました。そして2000年に、日本高血圧学会が新基準値を140/90に切り下げました。これを契機として、降圧剤の売り上げが年間2000億円から1兆円を超えるまでに増加しました。人口が米国の3分の1である日本で、売上高が米国のそれに迫るほどになったのです。
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  しかし高血圧学会の重鎮たちは、新基準値を裏付けるデータのないことに気が引けたのでしょう。基準値変更後の2001年(!)にある比較試験を行なっています。それが上の血圧が160以上の、65~85歳の4400人を2班に分けて、治療目標値を変えてクスリの効果を調べる試験です。
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  結果はある意味当然ですが、厳格に下げたほうが悪くなっていました。ゆるめ(に下げた方)の治療群の総死亡数が42人に対し、厳格(に下げた)治療群では54人と、血圧を140未満に下げたほうが死者が多くなってしまったのです(Hypertens Res 2008 ;31:2115)。いやはや。
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  数千万人が降圧剤を飲んでいる日本では、不都合な事態がたくさん生じています。その一つが”脳梗塞”です。血圧を下げると脳血管の中で血が固まりやすくなり、血液が流れなくなって脳組織が死滅するのです。脳梗塞派”脳卒中”の一種ですが、日本の別の比較試験では、上の血圧が150~180で下の血圧が90~100の人々にクスリを飲ませたところ、プラセボ(無治療)群に比べ、脳卒中が50パーセント増しになりました(臨床医薬2000;16:1363)。
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  起きてくる別の不都合は”ボケ症状”です。
  クスリで血圧を下げると、血流が減るために脳の働きが落ち、記憶力や判断力の低下、無気力などが生じ、ボケに似た症状が出るのです。日本での調査では、上の血圧をクスリで120未満に下げると、食事や入浴、着替え、排泄、歩行などの日常生活に支障をきたし、自立できなくなった人が7割にのぼりました。さらにフラフラして転んで大腿骨を折るなど、手術しても寝たきりになるという負の連鎖もよく生じています。
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  日本人の”健康寿命”が短いのは、降圧剤による”低血圧”に理由の一端があることは、もはや明白であると言えます。加えてクスリには副作用があります。降圧剤の種類によって多少は異なりますが、例えば売上高が上位にある”ブロプレス”だと、ショック、失神、意識消失、急性腎不全、高カリウム血症、肝機能障害、黄疸、白血球減少、横紋筋融解症、間質性肺炎、低血糖などがあります。またある種の降圧剤には発がんリスクもあります。前述の研究では、クスリ群の発がん率は、プラセボ(無治療)群の4倍以上になりました(前掲臨床医薬)
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  こうして、血圧は下げれば下げるほど総死亡数が増えます。
  日本の臨床現場でも、大勢の患者さんが亡くなっています。ただ遺体には、”降圧剤で死んだ”とか、”クスリで死んだ”という目印が残らないことから、がんや脳卒中、あるいは転倒して寝たきりになった後の肺炎で死亡したとされているわけです。
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       早く見つけるほど早く死にやすい
   『健康診断は受けてはいけない』 近藤 誠著 文春新書
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                               抜粋
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   多くの方々の著書や文章から掲載させて頂いています。
   私は基本的に、隠されている、公けにされていない、あるいは「誰もが知るべき真実」は、まだ知らない人々に伝えなければならないと考えています。その意味で、新たな情報、真実と考える物を掲載させて頂いています。侵害とお考えの際は、いつでも削除しますので、コメント欄にてお知らせください。ありがとうございます。

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コメント

有用な情報です。
私はネット署名を募集しております。
是非ご覧ください。

私は60代です。 手術後、降圧剤を飲んでいましたが、特に夏場は
風船の空気の抜けていくような、まったく圧力を感じない症状になり
ヘタリこむ事がたびたびありました。 ひどいときにはこのまま意識も無くなって死んでいくのかとさえ思い家族に電話をして自分の居場所を教えて、その場所でずっと、回復を待ったこともあります。
 立ちくらみのような軽い症状は、たびたびでした。
その時はとても血圧が低かったようです。 私は体感で血圧が基準値より、少しばかり高めでも、体調の悪かったことはありません。
 その頃から降圧剤の服用に疑問をもつようになりました。 
体験したことで今の血圧の基準は個人差もあり、
私には当てはまらないと思いました。

 医師の定期健診を受けている身ですが
医師には内緒で降圧剤を飲まなくなりました。 
 個人差もあるので血圧が高いほうが私には、あっている言いましたが、
聞き入れてもらえていません。
 薬を飲まないのは自己責任だと思い今は飲んではいません。
記事を読んで私は自分の症状や立場に納得いたしました。
長野県の高寿命と医療機関にかかる回数が少ないのが関係あるのも
なるほどと思います。
 服薬による副作用も色々と体験をしています。
以前から抱いていた血圧にかかる霧が晴れる記事でした。
 
 ありがとうございました。

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