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・幻想が事実にすり替わる韓国人の世界観

呉善花  何度かの韓国への入国拒否に遭い、韓国メディアの私への批判から、韓国の言論レベルはこれほどまでに低かったのか、知的レベルはこの程度のものだったのかということがわかり、私は悲しくてなりませんでした。それは歴史的に制限を受けていた古い精神性を脱して先へ進もうとするのではなく、李氏朝鮮王国時代の精神性に留まり続けている、あるいはそこへ再び退行しているというのが真実なのです。
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  以前は韓国にも、日本統治時代のことを「どちらかといえば正しい」と考えて、そうした歴史認識を肯定的に伝える人がいましたが、今では社会からみな抹殺されてしまったのでほとんどいません。ですが一部、肯定的な評価をする学者の研究はあります。それは国際的な学会との対応があるので、韓国政府も表立った弾圧は控えているからです。
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  しかし国内ではそれが少しでも一般向けに発言されようものなら、すさまじい勢いで大衆的な言論封殺パワーが巻き起こります。そうなると韓国の共同社会においては、社会的な死に等しい境遇に置かれることになります。また名誉棄損などの理由で「訴訟・裁判・有罪」とされて封殺されます。国家がちょっと煽るだけでも、一般民衆が自主的に弾圧してくれるわけです。
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  ですから韓国には、民主国家が普通に持つ一般的な言論の自由もなければ、学問の自由も実質的にはありません。そうなると、もうこのような国には発展はあり得ません。朱子学以外は認めなかった李氏朝鮮王国時代がそうであったように、思想は国家が決めたものしかなく、一つの思想しかないことになります。本来、思想は自由でなければならないはずですが、韓国はやはりそうではない国だったのかと、今さらながら驚いています。
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  国民情緒(感情)との同伴なしには政治家にはなれない、そういう状況が韓国に根付いてしまっています。私自身の入国拒否の件ではっきりわかったことは、韓国だけでなく北朝鮮も含めた朝鮮半島の価値観や考え方は、一つの倫理と一つの道徳の下に成り立っているということです。これはきわめて儒教的であり朱子学的です。
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櫻井よしこ  朱子学とは、中国・宋の時代の儒学者・朱熹(しゅき・1130~1200)の儒教学説ですね。朱熹は朱子とも呼ばれたので朱子学と呼ばれるようになった。これは階級制社会を維持する便利な思想であったので、中国、朝鮮、江戸幕府などに重宝された経緯があります。韓国人のルーツは儒教朱子学だと言われます。身内のことが絶対に優先され、一方でよそ者に対する蔑視や差別意識が強く、歪んだ優越感も生み出したと指摘する人もいます。では韓国人が考える「善」とは何ですか?
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  「理」が完璧に整っているのが善であり、これが最高の価値になります。これを体現しているのが権威者であり、国家社会で一番偉いとされる人たちが「善」であり、彼らが統治するので善政が行なわれる、というのが朱子学の考えです。しかし一番偉い大統領が「理」にそぐわない面を見せると、もっと徳の高い者が大統領になるべきという、「民意こそ天意」が発揮される。つまり国民情緒(感情)が政治の動向を左右することになります。
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櫻井  韓国にしっかりした人がいないとなると、父親のような存在である中国がよくなるのですか?
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呉  結局、儒教的な父親権威を求める心理です。
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櫻井  絶対的な権威を求めているわけですね。
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反対意見を持つのは悪
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呉  韓国では、権力を持つ一番偉いとされる人が示す歴史認識こそが、唯一の善で正しく、それとは違う歴史認識はすべて悪であり、間違っているということです。そこには相対的(後に違う歴史的事実が出てくる可能性や、違った解釈があり得るような柔軟性のある)正しさではなく、(一番偉い権力者の示すものが)絶対的な正しさなのです。そこから歴史は一つしかないと言う考えが導かれます。いまの韓国人がこれほど「歴史、歴史」と声高に言うのも、韓国の考える歴史こそが唯一の正しいものだと考えているからです。
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  実際、私ですら、歴史にはさまざまな観点があり得るということは、長い間、韓国人としての私の意識にはなかったのです。歴史には一つの見方しかないと思っていたのです。こう言うと「お前は何を勉強してきたのか」と言われるかもしれませんが、実際、日本に来るまでそうだったのです。ですが私が韓国人の中で例外的だったわけではなく、一般の韓国人のほとんどが今もそうなのです。その理由は、「韓国の学校で歴史教育を受けて来た」ことにあります。
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櫻井  韓国の人は自分で本を読んだり、資料を読み、研究したりして、自分の頭で判断することが不十分で、決められた一つの方程式に縛られやすいということですか?
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呉  道徳的な善悪の問題や、韓国的価値観が絡んでくる限り、そういうことです。つまり、歴史についての(すでにある)「唯一の正しい観点」を学ぶことが、韓国では歴史を学ぶことです。結局、生徒たちは(与えられた)唯一の観点に立って、そこから足を踏み外すことなく歴史を見るということになります。たとえば、「土地所有を近代的に整理する」という(日本による)朝鮮総督府の政策は、「土地を奪うための口実」として意味付けられるわけです。
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  ただ一つの観点の共有は、全体主義の価値観が根強く残っていることを意味します。ですから反対意見は悪になります。こうした考え方は約500年続いた李氏朝鮮時代につくられ、それが一般民衆の中に未だに生きています。こうしたことについて韓国の知識人、特にメディアの人たちには何としても気づいてほしいものです。
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  韓国メディアは、私が入国拒否されたことについて、「呉善花は韓国が教える歴史認識とは反対の考えを持っている。それをさまざまなところで発表しており、けしからん」と報道しています。メディアは自らを、韓国の最高の知識層だと自認しています。だから自分たち頂点の考え方や価値観に反するものは、すべて駄目だと判断するようになっているのです。
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櫻井  古い朱子学の要素を強く持つ韓国を相手に、私たち日本人は事実だけが持つ力をフルに活用することです。そのためにも「事実」という歴史研究を中心に一生懸命やっていき、それを世界に公開していくことであろうと思います。
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韓国人がユダヤ人を大好きな理由
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呉  韓国人はよく日常的に、「私はある者によって苦しめられている」という言い方をします。このことで、韓国人によるいまの反日感情のあり方も説明できる部分があります。韓国人は自分たちをとても「善きもの」と感じています。「善きもの」とはこの場合、いくら害されても自分たちの側からは決して攻撃することのない存在ということです。そして、それが韓国人の一番の誇りなのです。
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櫻井 本当にそうですか? 自分がいくら害されても自分からは攻撃しないというのは。ですが現実の韓国人を見ると、正反対ではないですか?
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  つまり、まず「我が民族」の歴史がそうだったという認識があり、その下にそれが韓国人の「理想の姿」だと思っているということなのです。ですが実際には何回か日本の対馬へ侵攻しているわけですが、「あれは占領されている我が領土を奪還するためのものだ」といった理屈をつけて除外しているのです。ということで、我が民族は自ら他国を攻撃したことは1回もない、ということになっています。
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  韓国人はしばしば「我が民族」を「恨(ハン)の多い民族」と呼びます。それは長い間、北方からの侵略や外圧に悩まされ続け、国内では過酷な専制支配下に置かれてきた歴史があるからです。韓国には「我が民族は、他民族の支配を受けながら、艱難辛苦の歴史を歩んできたが、決して屈することなく力を尽くして未来を切り開いてきた」と、自分たち民族を誇る精神的な伝統があります。
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  これを別の側面で言うと、韓国人はユダヤ人が大好きだということにつながります。ユダヤ人も迫害や艱難辛苦に耐えて屈することなく、しっかりと民族を維持し続け、一度も他民族を攻撃しなかったと、そういうふうにユダヤ人をイメージ化しているのです。韓国人は自分たちもユダヤ人と同様だと考えており、我々もユダヤ人のように「善なる民族」だと思っています。
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  そこで韓国人は、自分たちとユダヤ人には、何の罪もない優秀な民族が苦難の歴史を歩んできたという、歴史的な共通性があると考えています。そして多くの韓国人クリスチャンが、ユダヤ人がそうであるように、我が民族もまた神から選ばれた特別の民(エリート)であり、最終的な救済を約束された民である――という認識を持つようになったのです。
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櫻井  はぁ・・・。
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韓国にキリスト教信者が多い理由
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  ご存知のとおり、韓国はキリスト教が盛んです。2005年の韓国の統計では人口の29.2パーセントがキリスト教信者でした。現在は30パーセント強と見られます。このように韓国人がキリスト教を受け入れやすい要素の一つに、いま言った苦難の歴史を歩んだユダヤ・イスラエルの民と、自分たちの境遇を重ね合わせるという強い働きが挙げられます。
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  実際に、そのように説く韓国人牧師は多く、韓国がキリスト教を受け入れた理由の第一をそこに求める論者も少なくありません。こうした考えはすでに韓国の初期キリスト教にあったのですが、戦後に「反日民族主義」と結びついて、より強固なものとなっていきました。
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  それはつまり、こういうことです。戦後の韓国は、反日民族主義を国是として出発しました。「日本帝国主義の支配」によって、我々は無実であるのに国を奪われ、国土を奪われ、富を奪われ、言葉を奪われ、文化を奪われ、過酷な弾圧下で苦難の歴史を歩まされたという認識です。そうした「無実の民」がこうむった「苦難の歴史」があり、その「誇りの回復」というところで反日民主主義とキリスト教は一致しています。
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  そしてここに、「日本人はそのように善なる韓国人を苦しめてきた」、つまり「人類の普遍的な倫理への罪を犯した日本人」という反日の物語ができあがるのです。そこでは日本人は永遠の悪しき人であり、韓国人は善なる人です。いまの反日感情のあり方や慰安婦問題をこれほど執拗に攻め続けることの奥には、そのような幻想の世界があるのです。しかも韓国人からすれば、それはまごうことなき現実なのです。
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夢の世界が真実の世界になる
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櫻井  朝日新聞は2014年8月、吉田清治氏の証言は虚偽であったことを認め、関連記事を取り消しました。吉田清治という人物は、善花さんの故郷の済州島で、自分自身が慰安婦になる女性を強制的に連行したと述べた人です。そしてこの人物の言ったことが基となり、日本軍が強制連行したということになりました。だから彼の言ったことが嘘であれば、しかもそれがただ一つの証言ですから、強制連行はなかったことになります。
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  でも朴槿恵氏はその後に、「それでも生きているおばあさんたち、ハルモニたちの証言がある」と言いました。たしかに貧しさゆえに身を売らなければならなかったことは本当に気の毒なことです。それは日本人女性の中にも多くのそういう人がいました。ですが日本人女性は、強制連行ではなく、それが自分たちが甘んじて受けた宿命だったのだという気持ちがあり、私たち日本人の側にもそれがあります。
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  韓国の人たちは「日本にこんなひどいことをされた」「奴隷のようにされた」と言います。「我々韓国のほうが被害者なのだ」というのは、いま善花さんが指摘された「我々は善なるものであり、いつも日本が悪い。だから日本を責めるのだ」という心理構造と同じものなのですか?
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呉  そうです。ですからたとえ朝日新聞が吉田証言は捏造だと謝罪して撤回しても、韓国は絶対に認めたくない。「同じような事実はいくらでもある。まさしくお婆さんたちが証言しているではないか」と聞く耳を持たないのです。
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櫻井  認めたくないから認めない。
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呉  そうなのです。それを認めたくない理由があるのです。実際には貧困から娘を売ったり、韓国人の女衒(ぜげん)に騙されて連れて行かれたりしたことがたくさんあり、体験者に限らず、戦前世代の多くがそうした事実を知っています。結局、真実は惨めなものなのです。つまり真実を口にしたとたん、善なる夢の世界は崩壊します。だから真実、事実を認めたくない。それで恨をぶつけて抵抗する。そうして抵抗しているうちに、思い込んだ夢の世界が真実の世界になってしまうのです。
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櫻井  そもそも、どこの国でも戦争の時には慰安婦という存在があります。家族を養わなければならないとか、自分も生きていかなければということがあったのです。
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呉  そうですね。それはお金のためで、女性自ら慰安所へ入り、多くは貧困ゆえのことで、これはこれで一つの仕事なんですね。どこの国でも、彼女たちはそうやって生きていったわけです。
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  韓国の慰安婦問題で困ることは、これまで強制連行があったかどうかが問題となっていましたが、最終的に証拠がないとわかった今となっても、依然、証言しているおばあさんたちは、まさにそれで日本を攻撃しています。つまり、お金をもらいながら慰安所で仕事として働いたことと、強制連行とが一緒くたに論じられているのです。
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  それともう一つ、日本の女性にも多くの身を売った人たちがいたのです。でも何も言わないというのは、やはり家族のためにやむなく稼がなければならずに、その仕事をしていたのです。当然、多くの女性たちが惨めな思いでいっぱいだったと思いますが、しかしそれを誰かのせいにして、私はこんなに苦しめられたと声を大にして主張する女性は、日本人にはまず見られません。
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  しかし韓国人の場合は、日本軍の強制があって慰安婦にさせられたのだという物語が作られていくのです。日本の左翼活動家が強制連行を入れ知恵し、これを韓国の活動家が受けて、同じように主張するようになった。それで多くの元慰安婦たちは救われた気持ちになったのです。
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  それまでは韓国内では「日本人に身を売って儲けていた女たち」と見下されていたのが、一転して「そうではなかった。日本軍に強制されて仕方なく慰安婦になったのだ」となったからです。それで積極的に活動家に合わせた「証言」をする元慰安婦たちが出て来るようになったわけです。日本が悪である以上、韓国人はどこまでも善でなくてはならないのです。
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   『赤い韓国』 櫻井よしこ×呉善花 産経セレクト(Sー007)
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                                                   抜粋
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――多くの方々の著書や文章から掲載させて頂いています。
   私は基本的に、隠されている、公けにされていない、あるいは「誰もが知るべき真実」は、まだ知らない人々に伝えなければならないと考えています。その意味で、新たな情報、真実と考える物を掲載させて頂いています。侵害とお考えの際は、いつでも削除しますので、コメント欄にてお知らせください。ありがとうございます。

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